カブトムシ激減の未来(悲)トピックス
投稿:2026年9月16日
以下 AERA DEGITALより抜粋
カブトムシはどうして夏が終わると死んでしまうの? カブトムシとクワガタ、どっちが強い? 昆虫ゼリーってどんな味? 知ればきっと愛おしくなるカブトムシに関する素朴な疑問や不思議を、昆虫の生態に詳しい「こんちゅうクン」こと磐田市竜洋昆虫自然観察公園(静岡県)館長の北野伸雄さんに解説してもらいました。夏休みの自由研究のヒントになるかもしれません。※前編<カブトムシが「夫と一緒に出社」「コーヒーサーバーの中で…」 夏本番!虫かごからの脱走事件簿>から続く
■長生きさせるなら“ひとり暮らし”
――カブトムシは、どうして夏が終わると死んでしまうのですか。
クワガタのなかには、越冬して2〜4年生きる種類もいますから、成虫期間をひと夏で終えるカブトムシは短命ですね。
カブトムシの成虫は、飼育下では2〜3カ月生きることもありますが、野生の寿命はおそらく1〜2週間くらいで、かなり短いと考えられています。羽化してすぐに交尾し、産卵して短い一生を終える。カブトムシはそうやって生き残ってきました。夏が終わると樹液も出なくなるので、短い夏を全力で生き抜く生き方に特化してきたとも考えられます。
成虫期間でいうと、セミの生き方に近いかもしれません。セミは「土から出て1週間」とよく言われますが、実際には2〜3週間、1カ月近く生きるとされています。セミよりカブトムシのほうが“短い夏”なのかもしれません。
少しでも長生きさせたいのなら、“ひとり暮らし”がおすすめです。そうすることで秋まで生きることもあります。というのも、カブトムシのメスは一生に1回しか交尾をしません。交尾後もオスと一緒にしておくと、オスは何度も交尾しようとし、メスは拒否し続けます。お互い体力を奪われますし、メスは卵を産むのにも体力を使います。交尾後のメスにとって、オスと一緒にいるメリットがないからです。
――カブトムシとクワガタ、力はどっちが強いですか。
カブトムシのほうが優勢だとされています。カブトムシは単純に体が分厚くて大きく、その分、力が強いです。
クワガタとカブトムシは、すみ分けもしているようです。クワガタは体が平べったいため、木の隙間に入り込む行動をします。入り込むことで外敵から身を守りやすくなっています。
■甘そうで甘くない昆虫ゼリー
――カブトムシが大好きな昆虫ゼリーは甘い香りがします。実際は、どんな味なのでしょうか。
まずお伝えしたいのは、「絶対に食べないで」ということです。人間の食べ物として流通するのに必要な検査を通過していないからです。
そのうえでお答えすると、僕が“味見”したところ、「うっすら甘い」というのが個人的な感想です。あんなに甘い香りがするのに、それほど甘くありませんでした。人間用のゼリーのほうが甘くておいしいです。甘そうに見える樹液も“味見”したことがありますが、甘味はなく、味自体はあまりしません。全然おいしくない。つまり、甘味よりにおいのほうが大事だということです。くれぐれも、味見しないでくださいね。
■爪が引っかかったらお尻をツンツン
――カブトムシの爪が服や手に引っかかり、引っ張っても取れないときは、どうしたらいいですか。
この問い合わせは僕のところにもよく寄せられます。カブトムシは爪が鋭いため、皮ふや服に引っかかってしまうんですよね。無理に引っ張ると、服が破れたり、血が出たりしてしまいます。こういう場合は、おしりをツンツン押してあげると、自分で歩いて移動するので自然とはがれます。こうすると痛くありません。ぜひ試してみてください。
――カブトムシはかむこともあるのですか。
カブトムシにも顎(あご)はありますが、噛みつくような口ではなく、樹液を吸うのに適した口です。クワガタのように挟むことはありません。
クワガタには血が出るほど挟まれることもあります。個体や種類にもよりますが、そういう意味では、子どもが飼うにはカブトムシのほうが安全かもしれません。背中側から小さい角を持って触る程度であれば、カブトムシの危険性は少ないかなと思います。
――これからカブトムシを飼う人に、観察を楽しむためのポイントを教えてください。
カブトムシはぜひ繁殖にチャレンジしてもらいたいです。クワガタと比べると、簡単に繁殖できます。しかも堆肥で増えるので、手軽です。
交尾済みのメスを、15センチほど腐葉土を入れたケースで飼育すれば、だいたい産卵します。卵の期間はたった10日ほどと意外と短いので、見逃さないでくださいね。ケースの土を1週間に1回ぐらいのペースでひっくり返すと、コロコロっと卵が出てきます。
産まれたばかりの卵は、少し縦長の白い粒で、ふっくらしたごはん粒のよう。だんだんふくらんで丸くなり、黄色くなって孵化します。次の夏に向けて、卵から育ててみるのもいい経験になるのでおすすめです。
■片方の後ろ足を上げておしっこ
――カブトムシの面白い仕草はありますか。
あります! おしっこをするとき、後ろの片足を上げるんです。でも、どうして上げるのかは、はっきりとはわかっていません。体を汚さないためという説もありますが、真相は不明です。オスもメスも片足を上げます。おそらく、においの強い尿が体に付着しないようにしているのではないかと思います。一瞬ですが、面白い行動なので、ぜひ観察してみてください。
――雑誌「AERA with Kids」は今年で20周年を迎えます。20年後の子どもと昆虫の関わりについて、こんちゅうクンの思いを聞かせてください。
20年後を考えるにあたって、この20年間を振り返ってみたのですが、僕がいちばん驚くのは、今ではめったに出合えないタガメが、昔は田んぼによくいたということです。昔の人の「普通」が、今は普通ではなくなっています。
20年後は、今より確実に虫が減っているでしょう。僕が一番心配しているのは、カブトムシやセミ、バッタといった、いま普通に見られる昆虫たちが、20年後も普通に見られるかということです。
20年も経てば地球温暖化も進むでしょうし、虫たちにとっての環境が良くなるとはあまり想像できません。そうなったとき、その時代の子どもたちが「本物のカブトムシは見たことがないよ」「セミって夏に鳴くんだね」となってしまうのはいやですね。 そうならないために、普通の虫たちが普通に見られる今の環境を、どう続けていくかをまず考えていかなければならないと思います。
それから、今の子どもたちが虫と接する機会が減っていることも心配です。もし、みんなが虫に関心を持たなくなってしまうと、虫が苦手な人が増え、虫が減っていることにも気づかなくなります。そうなると対策もできず、負のスパイラルになってしまいます。
それはなんとか食い止めたい。だからこそ、虫に興味を持つ子どもたちを、これからの20年も育てていかなくてはなりません。子どもたちが虫を好きになる機会を、これからも増やしていきたいです。
(取材・文/大楽眞衣子)
◯こんちゅうクン/本名、北野伸雄(きたの・のぶお)。浜松市出身、1985年生まれ。九州大学農学部生物資源環境学科で昆虫について学び、大学院ではチャバネアオカメムシの卵に卵を産みつける寄生バチを研究。大学院を中退後、2014年より静岡県の磐田市竜洋昆虫自然観察公園の職員となり、2020年より館長に就任。小中学校で出張授業を行い、昆虫の面白さや奥深さを子どもたちに広く伝えている。保育士資格取得。クワガタの標本ついたメガネ、クワガタのような帽子がトレードマーク。著書に『こんちゅうクンとみんなの昆虫学校NEO』(くまふメディア)など。
★私たちのまわりでも、年々、カブトムシやクワガタムシが採れていた木が伐採され、出会える機会が減り、環境の変化を実感しています。子ども達と楽しむ昆虫採集の場所を探しては、伐採されの繰り返しになっています。ひかり学園には、カブトムシの産卵床があり、毎年、そこから出てくるカブトムシ達が達がいます。園庭でカブトムシやクワガタムシ達が、過ごせる環境をもっともっと整えていきたいと考えています。魚やザリガニ、カメ達もね^^
