特別支援学級で一日中罵倒の不適切教師ひかり学園
投稿:2025年6月2日
「あんたら、そんなんやし、何も出来ひんねん!」特別支援学級で一日中罵倒する不適切教師、専門職のはずが担任決めも“後回し”にされる“名ばかり支援級”の実態
5月19日に配信した記事「我が子を特別支援学級に通わせる保護者の怒り 箱だけ用意された“名ばかり支援級”の実態」の反響は大きく、学級崩壊を招いた教員が特別支援学級の担任に回されているなどの実態に多くの意見が寄せられた。編集部に届いたリアルな声から、新たに問題点が見えてきた。解決の糸口を、現役教員や教育評論家に話を聞いた(以下、通常学級は通常級、特別支援学級は支援級とする)。 【画像】登校を嫌がり始めた支援級に通う子ども…カバンに入れたボイスレコーダーに残されたあり得ない音声
「まるで軍隊のよう」「担任から一日中罵倒され…」驚くべき支援級の実態
「支援級の小学6年生のときに、担任に我が子は草むしりをさせられていました。これは教育委員会に伝えるまで続きました…」という長崎県諫早市在住のSさんは、現在21歳になるダウン症のお子さんが小学6年時と中学1年時の担任に悩まされ、鬱病も経験した。「中学1年時の担任は、特別支援計画(障がいのある児童生徒の個々のニーズに合った教育的支援の計画)を作らず、『そんな書類は知らないです』と堂々と言い放ちました。障がい児の親が過度に心配しすぎなどと批判の声がありますが、精神疾患などの二次障害が起こる可能性もあり、『我が子を守るのは親しかいない』という気持ちが強いです」
また、神奈川県横浜市の小学校の支援員だったFさんは、現場の実態をこう打ち明ける。
「先生が児童の胸ぐらをつかむ、壁に押しつける、泣くまでプリントをやらせる、ペットボトルで作った作品を握りつぶしゴミ箱に投げ捨てる、などの行為を見かけました。まるで軍隊のような支援級でした」
当時の校長に直訴しても担任の指導は変わらず、教育委員会に伝えても“保護者ではないから信用できない”と突っぱねられたという。
「その後も、学校カウンセラー、横浜市の支援課や教育委員会の心理士に伝えましたが改善されず。この実情を児童の親御さんはいまだに知りません。子どもたちの環境が少しでも良くなってほしい」
Fさんは現在もその小学校へ時々様子を見に行きながら、市で子育てサポートを行なっている。
京都市の小学校に子どもを通わせていたMさんは、支援級に通う、話すのが得意ではない娘の変化に気づき、いても立ってもいられず、ある行動を起こした。
「3年生までは学校が大好きだったのに、4年生になってから毎朝登校を拒否するようになったんです。日に日に元気もなくなっていって、何かおかしいと感じ、いけないと思いながらもボイスレコーダーをカバンに入れて登校させました。
そこに記録されていたのは耳を疑う内容でした。朝から下校まで担任のS先生に一日中罵倒されていたんです」
《あんたら、そんなんやし、何も出来ひんねん!》
《返事は? 返事! 返事も出来ひんから、こんなとこいるねん!》
ボイスレコーダーには、こうしたS先生の罵声が記録されていた。すぐさま校長に掛け合うも「そんなはずはない」の一点張り。録音を聞かせても、信じられないという顔だったという。
その後、「担任は変えられないので、見張りをつけます」と言われたが、結局見張りのいない時間に同じことを繰り返されたという。
問題のS先生は2年間は現場を離れたものの、現在は教員に復帰。実はこのS先生も、前年度に通常級で学級崩壊を起こしていたことがわかっている。
学級崩壊の背景…現役教員や専門家の見解は?
読者からは、支援級の実情への共感の声があがった一方で、教育関係者からは「必ずしも教員だけが“学級崩壊させる”わけではない」という反論や嘆きも多数寄せられた。
23年間教壇に立った元教員で、『「親力」で決まる!子供を伸ばすために親にできること』(宝島社)などの著書がある教育評論家の親野智可等氏はいう。
「学級崩壊の要因は複数ありますが、大きく分けてふたつ。教員に問題がある場合と、家庭や子どもに問題がある場合です。子ども側に問題があるケースでは、授業を妨げる児童が1人なら対応できる先生もいますが、2人以上となると優秀な先生でも学級崩壊につながる可能性が高くなります。
そうした児童は、家庭の問題を抱えている場合もあるんです。たとえば、私が受け持った学校にいた児童は、日常的に親から抑圧されており、箸の上げ下ろしひとつをとっても苦言を呈されるような環境で過ごしていました。
自宅での緊張感の反動で学校に来るとやりたい放題……。授業の妨害行為をご両親に伝えると、“うちではそんなことしません。先生に問題があるのでは?”との見解でした」
学級崩壊の原因をさかのぼれば、親子関係が大きく影響している実例も少なくないのだという。
「しつけを優先し否定的に叱ることが多いと、子どもの自己肯定感が低下します。また、親に対する苛立ちが高まり、それを発散する行為が“学校でのやりたい放題”につながります」
このように話した上で、親が子どもの自己肯定感を育むために意識すべきことについて、次のように語ってくれた。
「大事なのは、子どもが少しでもやりやすいように大人が合理的な工夫をすること。たとえば、片づけが苦手であれば、ワンタッチ収納にしたり、ラベリングをして定位置を決めたりする。工夫を施してもできないときには、手伝ってあげる。それでもできなければ親が片づけ、場合によっては受け入れてあげることも必要でしょう。
健全な自己肯定感さえ育まれていれば、成長過程や必要性を自覚したときに“自分ならできる“と改められることもあります」(前出・親野氏)
何より危険なのは、子どもが自己否定感にとらわれることだという。それを避けるために、親は一人で抱え込まないことが大切だ。
「子どもの発達特性について親が一人で悩むのではなく、早めに専門家に相談したり、必要に応じて療育を受けたりすることで子どもが過ごしやすくなることもあります」(前出・親野氏)
困難を抱える子どもが過ごしやすい環境を享受するには?
大阪市で支援級を受け持つ担任歴10年のO先生は、教育現場での問題点を以下のように話す。
「教育現場で特別支援教育が“後回し”になっている現状は、現場の私たちにとっては珍しいことではありません。人手不足の中、まずは学級担任を決め、次に専科、そしてようやく支援級という順番で配置されることもあります。
支援級の優先順位が低く、その役割が”空いている人がやるもの”“とりあえず回せばいいもの”といった軽視されたポジションになっている自治体、学校も少なくないのです」
そればかりか、こんな実態もあるという。
「支援級の教員が、全教科の普通級クラスの定期テストのふりがな打ちを担ったり、学年全体の雑務を引き受けたりしている学校も。本来、専門性が求められる支援級の教員が本務とは異なる業務に追われ、目の前の子どもたちへの支援が後手に回る状況なのです。
大切なのは、“支援教育は専門職である”という視点を学校全体が共有し、管理職(校長、副校長、教頭)がその理解のもとに人材配置を行うこと。
特別支援教育の専門資格保持者(特別支援教育士・学校心理士等)を、学校運営に関わるポジションへ登用し、学校文化そのものを再構築していく必要があるのではないかと感じています」(前出・O先生)
不適切指導の諸悪の根源は、やはり教員不足か
学級崩壊や、支援級での教員の不適切指導も「根底には教員不足があげられる」と前出・親野氏は話す。
「先生を増やして、少人数学級が成立すれば一人一人にきめ細やかな指導ができますし、いじめも発見しやすい。学力格差にも応じやすく、じっくり子どもに向き合うこともできます。
学級崩壊する前に補助の先生を多めに配置したり、不適切な指導があれば、現場から一時的に離れてもらうなど臨機応変な対応が可能になるのではないかと思います」(前出・親野氏)
実際、少人数教育を取り入れている自治体もある。山梨県では少人数教育を推進し、これまでの35人教育を見直し、2021年度に小学1年生を対象に25人学級を導入。以降、25人学級を維持したまま進級し、来年には全学年で25人学級が実現する。
各都道府県の首長も本気で取り組めば、教育環境は変えられるのだ。ただ、本来は国が先頭を切ってやらなければならないことではないか。
「日本の教育予算は3.24%で、OECD(経済協力開発機構)加盟国で最下位です(対GDP比)。資源のない我が国こそ、子育て・教育にお金を投じるべきではないでしょうか。
教員の人員を増やし、必要とする学級へ十分に教員を配置するためにも、教育予算の増額は日本最優先課題だと考えます」(前出・親野氏)
日本は学校文化、教育予算を見直すべきときがきているのかもしれない。
取材・文/山田千穂 集英社オンライン編集部ニュース班
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